2001年11月13日(火) 13:28

ドイツ経済研究所所長はEUが危機に瀕していると判断

ベルリン(ロイター)

ドイツ経済研究所(DIW)のクラウス・ツィンマーマン所長は、欧州連合(EU)が機構上危機に瀕しており、その行動能力と拡大計画が危うくなっていると判断する。DIWの発表によれば、ツィンマーマン所長は火曜日ベルリンにおいて、昨年末のニース首脳会議は形式的には欧州連合の東方拡大への道を開いたものの、最重要のEU諸機構の改革に関しては完全な失敗であった、と発言した。景気が思わしくない状況に鑑み、所長は欧州があまり頑なに緊縮政策に固執することのないよう警告し、「柔軟な戦略」を勧奨した。

ツィンマーマン所長はドイツ政府に対し、次のEU政府協議ではEUの決定構造の改善を訴えるよう求めた。さもなくばEUの非効率的な決定プロセスによりEU東方拡大のスピードが落ちる恐れがあると所長は述べた。欧州中央銀行(ECB)についてツィンマーマン所長はEU内の「共同機構の中で最も欧州的」と評した。しかし所長は、欧州中央銀行の市場での行動が控えめ過ぎて、そのためにユーロ圏の成長の機会が損なわれている。欧州中央銀行は充分な声望があり、物価安定と成長を同時に確保することは可能なはずだ、と指摘した。

EUの財政政策に関してツィンマーマン所長は、過度に硬直した緊縮政策をとらぬよう警告した。たとえばユーロ諸国の財政赤字に関して、特定の年間目標値や具体的なパーセンテージに固執するのは、すでに明らかになったように、誤った戦略であった、と述べた。さらに所長は、ユーロ圏のあらゆる潜在的成長能力を生かすべく、物流市場、金融市場および労働市場を改革するよう求めた。

原題:Wirtschaftsforscher sieht EU in der Krise